“にもかかわらず”の精神で新しい未来へ!

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Beauty & Care NIGHT OUT★Vol.3の第二部、鎌田實先生の講演会。終盤で代表・山際が「なぜ弊社の介護美容サービスを応援してくださるのですか」と質問させていただくと、「山際くんの狙いはいい。だけど、新しいサービスだから、ほっとくとストップするだろうなと。だから鎌田實の名前で応援してあげようと思ったんだよ」とのことでした。

鎌田先生の応援は介護美容研究所にとって大きな誇りであると同時に、絶対に事業を止めてはならないというよいプレッシャーを与えてもくださいました。

イベントに参加したかったけれど行けなかったという方も多いと思いますので、鎌田先生にいただいた素敵なお話を記事にまとめました。よろしければご覧ください。

 

外見と人生の関わり

_BQ_1790人間はまだ言語のない時代から、自然の染料を使って顔に色を塗ったり、アクセサリーをまとったりして「自分はこうである」と表現してきたといいます。言葉のない時代だからこそ、自己表現をするために化粧が重要なツールだったのかもしれません。

であれば、身体や言葉での意思伝達が難しくなってきた高齢者にとっても、やはり美容は重要なツールであると思えます。

鎌田先生は、今回のトークイベントのタイトルの一部でもある「Care&Beauty」を取り上げ、「Care&Beauty」は「Care&Beauty&Health」、そしてつまりは「Care&Beauty&Health&Happy」なのだ!とおっしゃいました。

 

なぜかというと「外見と人生は、密接に関係しているから」だといいます。

 

同じ遺伝子を持つ一卵性双生児について外見の印象だけを比較したとき、若く見えた方が圧倒的に長生きしていたのだとか。つまり、歳を重ねても外見に気遣うこと、身だしなみを整えておくことは健康にもつながるとても大事なことなのだそうです。

 

人間の自己表現の手段として、さらには健康と幸せにもつながる可能性を秘めた美容のお話から、講演はスタートしました。

 

 

被災地での出来事

_BQ_1733東日本大震災の時に、被災地に赴いていた鎌田先生。その時、化粧品メーカーから化粧品を提供したいという提案をいただいたそうです。

当時は被災地の状況を鑑みて、もう少し現地の混乱が落ち着いてからご提供いただいた方が良いだろうと考えたとか。しかし、メーカーの方からの猛プッシュもあり、受け取ることにしたといいます。

そして避難所で化粧品を配ってみますと、なんと女性の方々が思いがけないほど大喜びしてくださったのだとか。この時は避難所であった体育館の中の雰囲気さえも、とても明るいものになったといいます。

被災地の方は、困難な状況にあるからこそ、生きる力を欲していたと思います。そしてお化粧は、前を向くためのツールとして役立った。人に喜びを与え、元気をもたらし、そこから生きる意味を見出だせるようになる。そんな貴重な事例のひとつを共有いただいたように感じました。

 

 

介助の歴史

_BQ_1812これまで人と美容の関係について、鎌田先生のお話を振り返ってきました。それでは、人が人を支え助ける「ケア」という行為は、人間にとってどんなものなのでしょうか。

鎌田先生は、何千年も前の人類の化石についてお話くださいました。この化石を詳しく検査したところ、足に先天性の障害があり、歩けなかったであろうことが判明したそうです。

驚くべきは、その人がなんと「栄養過多」の状態であったということ。

 

ただでさえ木の実などが主食のこの時代、栄養過多になる人間など極稀なはず。そのうえ足が不自由で、自ら食料調達はできない状態なのです。

 

これはつまり、この人が周囲から支援されて生きていたことを示しています。人類が何千年も前の昔から「介助」を行ってきたという証拠であると、鎌田先生はおっしゃいました。

 

 

飢えてしまって当たり前、ではない

アリとキリギリスというイソップ寓話、有名ですよね。

冬の食料を蓄えようとする働きアリと、バイオリンを弾きながら優雅に過ごすキリギリス。冬になってキリギリスが食べ物を探しても見つからず、アリたちに食べ物を分けてくれるようお願いしますが、「ギターばかり弾いていたのだから」と拒否されキリギリスは飢えてしまうというお話です。

この話をスタッフは、「備えあれば憂いなし」ということで、アリのように将来の危機を先回りして考え準備をしておくのがよいという教訓だと受け止めていました。

 

しかし鎌田先生は、この話には残酷な一面もあるとおっしゃって、新しいストーリーで絵本を作ったそうです。最後の最後にアリがキリギリスに食べ物を分け与えようとする話です。

 

一番つらい時に手を差し伸べてくれる存在がいること。まさにここがケアの真骨頂なのだとおっしゃいました。誰かに何かをしてあげたいという気持ちが人の遺伝子の中には組み込まれている。手を差し伸べることが生きがいにもなり得る。

 

ギターばかり弾いていたのだから飢えてしまっても当たり前、とはならないのだと。物事の一面にとらわれず、柔軟な考えで「ケア」についてもっと深く考えたい、と思わされたお話でした。

 

 

人生のトッピングを選ぶ

_BQ_1905鎌田先生と交流のある若年性アルツハイマー病に侵された方は、毎日散歩することをご自身で選択されました。そして、その後症状の進行がおさまっているのだそうです。その方が仰るには「僕は少し不自由になったかもしれないけれど、不幸ではありません」と。

自分で選択できることは人にとって大切なのだと鎌田先生はおっしゃいます。そして美容も自己決定するためのツールであり、生きるうえでのトッピングのひとつであると。

介護を受ける側の方は「遠慮」してしまいがち。そこに美容の持つ「自己決定力」を取り入れることは両輪がうまく回ること。介護美容の考え方は、いわばごく自然で当たり前のことなのだとお話を聞いて改めて感じました。

人生は辛いことの繰り返し。“にもかかわらず”私たちは歩いていく。悲しいこと、理不尽なことは一旦横に置いておき、新たな一歩を踏み出さなければならない。

「にもかかわらず」という発想が未来を切り拓く、という言葉が胸を打ちました。一つの不幸に囚われそうになったときは思い出していきたいと感じます。

午前中に取材、夕方からはテレビ出演とご多忙の中、弊社のイベントにご登壇くださった鎌田先生には感謝しかありません。本当にありがとうございました。